イギリスの通信会社EEのマルチカットSIMカード

MouseProのLTEモジュールをLinuxで使う(ロンドン編)

色々あって倒れてたり忙しくしてたりしていたら、2025年も半分以上終わっていました。最近ようやく落ち着いてきたので、ブログを開いてみたら書きかけの記事があったので完成させておきます。


去年の暮れにBlackHat Europe2024でロンドンに行ってました。
初のヨーロッパで、なんならインターネット回線を自前で用意する必要がある海外渡航は初めてだったわけです。同行者は皆ローミングしている中、OCNモバイルとIIJmioの自分はUbigi eSIMを使ったで紹介しているようにスマホはプリペイドeSIMで耐えました。

問題はノートパソコンのSIMカードです。
Wi-Fiとかテザリングとか言っている人はSIMカードスロットのついたノートPCなんか持ち歩いていないわけです。大体プリペイドeSIMでテザリングなどしたら通信容量がなくなったら大変です。

というわけで、SIMカードを現地調達することにしました。
イギリスではプリペイドSIMはPay as you goと呼ばれていて、ロンドンでは至るところでSIMカードが手に入るようです。
とはいえ、久しぶりすぎる海外で一人でホテルに閉じこもっていたため、携帯ショップまで行く勇気などありませんでした。

食料を調達するためにホテルのすぐ近くのTESCO Express Store(日本で言う「まいばすけっと」・「マックスバリュ」みたいなところ)で買い物をしていると、「SIMカードコーナ」があるのを見つけました。

8GBプラス500分通話と無制限SMSと書かれたSIMカードのパッケージ


「こんな場所でも売ってるのか…」と思いながらとりあえず買ってみましたが、このSIMカード自体は10ポンドしませんでした。

どういう意味か分からないままホテルに戻り、開封したところ普通にSIMカードが入っていました。

マルチカットSIMカードの図

とりあえずSIMカードをPCに刺して設定してみます。
APNの設定はKDEのデフォルトで存在していたため、それを選択して有効化すると、電波は掴むのですがインターネットにはつながりません。

KDEのプロバイダ選択画面
KDEデフォルトのEEのAPN設定

ModemManagerで確認してみると一通のSMSが届いてました。

EE(150)から届いてたSMS
クレジットを追加してねと書いてある

なるほど、先程購入したSIMカード自体には10ポンド分のクレジットは追加されてなくて、指定されたアドレスで都度10ポンドづつ課金する設定のようです。EEのサイトだけはアクセスできるようになっていて、そこでアカウント登録ができるようです。

ここでアカウント登録するのも良いのですが、色々入力するのが癪だったため別の方法がないか調べていると、10ポンド分のバウチャーコードもTESCO Expressで売ってるとのことです。

また食材を買いに行くためにTESCO Expressに赴いて探してみましたが見当たりません。しょうがないので食材だけ買って帰ろうとセルフレジを操作すると「ギフトカード等」というボタンがありました。
まさかと思って押してみると色々な電子クーポンの選択肢があり、その中にEEの10ポンド分のバウチャーコードもありました。購入するとレシートとは別に16桁のバウチャーコードの書かれた紙が出てきます。

"EE E-Voucher £10.00"と16桁のVoucher numberが書かれた紙

よく見るとVoucher numberの下に”PI To redeem text VO and 16 digit code to 150.”と書いてあります。PIが何の略はわからないですが、150という番号は先程のSMSの番号と合致するので、VOと16桁のコードをSMSでMondem Managerを使って送ってみます。

150に向けて"VO"と16桁のコードを送る様子

するとすぐに10ポンド分課金できたと返事が来ました。

150からの10ポンド分の支払いを受け取ったとのSMS
10ポンド分の支払いありがとうございます、とのSMS

するとインターネットが出来るようになってました。面白いシステムですね。
残念ながらIPv6アドレスは降ってきませんでした。

ifconfig.coの画面

速度もそこそこ出るようです。

SpeedTestの結果。下り16.15Mbps、登り10.09Mbps

そういうわけで、ロンドンの町中でも安心してノートパソコンが開けるようになりましたとさ。TESCOは何でも揃ってた。